
「NTTドコモ モバイル社会研究所」が全国の15~79歳男女に対して行った調査によると、日本における2023年1月現在のスマートフォン所有率は96.3%でした。
(参考URL: https://www.moba-ken.jp/project/mobile/20230410.html)
2010年頃の所有率が4%程度だったことを考えると、ここ十数年で爆発的に増加したことがわかります。
では、スマートフォンがこれほど急速に普及したのには、どのような背景があるのでしょうか。
所有率の推移とともに、スマートフォンの進化と時代背景を見ていきましょう。
2007年、アメリカのAppleが初代iPhoneを発売。
それまで主流だった「携帯電話」とはまったく異なる画期的なデザインと機能を備えたスマートフォンの登場に、人々は衝撃を受けました。
そして初代iPhone誕生から3年が経ち、2010年には「iPhone4」が発売。
これによりますますスマートフォンの利用は拡大しました。
一方、スマートフォンが世界的に普及する中、日本での所有率は4%程度でした。
この頃はまだ「スマートフォン」「iPhone」というものを知らない人も多かったのが実情です。
2011年頃、日本でのスマートフォン所有率は、20%前後でした。
Androidも発売され、この頃から日本でも普及してきたことがわかります。
ただしこの当時はまだ、一部のガジェット好きな人や新しいものを使ってみたい人がスマートフォンを利用する程度にとどまっていました。
新しいものに対して慎重である、という日本人の性質も大きく影響していると思われます。
ただ2010年からの1年で15%近く上昇したことから見ても、普及の速度は十分であるといえるでしょう。
一方、スマホ業界の動きとしては、アメリカGoogle社がスマートフォン市場に参入しました。
これを皮切りに、多くの企業がスマートフォン産業に参入。競争がよりいっそう激化しました。
2015年頃には、所有率は50%前後と、国民の2人に1人はスマートフォンを所有している時代になりました。
スマートフォンの所有率が、フィーチャーフォンを上回ったのもこの頃です。
スマホ市場においては、2012年には韓国のサムスンが「Galaxy s3」を発売し、Appleを抜いてスマホ販売シェア世界ナンバーワンになりました。
iPhoneの誕生以来、圧倒的王者であったAppleが敗北したという事実は、多くの人々にとって衝撃でした。
また、2013年には日本国内で最大手のキャリア、NTTドコモがiPhoneを発売。
海外では韓国サムスンや中国のシャオミ、Huaweiなどが、高性能で低価格なスマホを発売し、スマートフォン市場は目まぐるしく情勢を変えました。
この頃のスマートフォン所有率は、70%前後と高い数値が出ています。
シニア世代にもスマホが浸透し、「ガラケーを取り出すのが恥ずかしい」とさえ思われるほどになりました。
また、このあたりからマニュアルやスマホ教室などが整備され、それまでスマホの使い方が不安だった層も、人に聞いたり調べたりすることで使い方がわかるようになってきました。
シニア世代にもスマホが普及した理由としては、このような体制が整った影響も大きいでしょう。
スマホ産業では、それまで第一線を走っていたiPhoneの進化が停滞しつつありました。
一方、勢いのある中国メーカーは、「トリプルカメラ」や「ディスプレイ指紋認証」など、画期的な機能を投入。
さらに、韓国サムスンも開発に力を入れ、韓国勢と中国勢によるAndroidスマートフォンのシェア争いが激化しました。
そして、2020年頃から現在。
冒頭で解説した通り、現在の所有率は90%前後と、老若男女問わず、日本人のほとんどがスマホを所持しています。
また、スマホ所有率の上昇にともない、5Gスマホや折りたたみ式スマホの発売、AI機能の進化、モバイル決済の普及など、あらゆる事柄が凄まじい勢いで進歩しています。
スマホ市場に参入している企業たちにとっては、これらの機能を存分に発揮できる商品の開発が最重要課題となるでしょう。
マイナンバーカードやオンラインバンクの整備も進められ、お金や個人情報のすべてがスマホ1台で完結する未来も見えてきました。
スマホ所有率が100%となる日も、そう遠くはないかもしれません。
しかし、スマホ1つにすべての情報が入るということは、スマホを失えばすべて失ってしまうということにもなります。
今後のスマートフォン開発においては、機能の強化と同様に、強固なセキュリティ対策の開発にも期待したいところです。